「慰安婦に対する手紙」
拝啓
このたび、政府と国民の協力して進めている「女性のためのアジア平和国民基金」を通じ、元従軍慰安婦 の方へのわが国の国民的な償いが行われることに際し、私の気持ちを表明させていただきます。
いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でございました。私は、日本国の内閣総理大臣として改めて、いわゆる従軍慰安婦として幾多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを申し上げます。
我々は、過去の重みからも未来への責任からも逃げるわけにはまいりません。わが国としては、道義的な責任を痛感いしつつ、おわびと反省の気持ちをを踏まえ、過去の歴史を直視し、正しくこれを後世に伝えるとともに、いわれなき暴力など女性の名誉と尊厳に関わる諸問題にも積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。
末筆ながら、皆様方のこれからの人生が安らかなものとなるよう、心からお祈りしております。
平成八(1996)年
日本国内閣総理大臣 橋本龍太郎
(歴代署名:小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎)
大沼保昭著 聞き手 江川紹子 「歴史認識」とは何か 中央公論新社刊 記載より
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