2017年10月14日土曜日

来年の明治150年を考える 戦前80年 戦後70年 隔たり

須田努著「吉田松陰の時代」岩波書店

  安倍政権は、来年の明治150年を大々的に行事をやるようです。「実現された近代化政策として、立憲政治、議会政治に導入、国際社会への対応、技術革新と産業化の推進、義務教育の導入や女子師範学校の設立など女性を含めた教育に充実等々・・・」が揚げられ、これらを達成した「明治の若者や女性、外国人などの活躍を改めて評価」し。明治期の文化活動にもふれ、「日本の強みを再認識し、今後の更なる発展を目指すきっかけとなる」政策を推進するとある。そうです。(ホームページ 首相官邸 会議等)

  これは歴史認識に問題である。内線の中から明治と言う時代が生まれ、対外戦争は繰り返され、経済格差は拡大され、琉球・沖縄を「植民なき植民地」であったと著者は述べています。この行事には、これらの事実が語ろうとしていない。

  この書は、松陰の足跡や資料を丁寧にたどり、松陰をして「おっちょこちょい」な青年、思想家・革命家と「上書きされた」人と捉え、彼を「時勢の人」と見る。

  西郷隆盛が主張したとされる所謂「征韓論」も、この吉田松陰の「挑戦侵攻論」など、即ち「富国強兵」論があった。と記しています。

  時の、為政者が自分の「都合のいいとこ取り」をします。安倍政権の明治150年の行事はまさにその感があります。

2017年10月9日月曜日

2017 総選挙 日本人に政党支持 永田町と一般人の意識の乖離

明日、総選挙が公示されます。選挙戦は既に佳境にはいいています。公職選挙法が複雑怪奇なために、日本の選挙の在り方は歪んでいますが、それでも選挙は民主主義に根幹です。棄権が一番この国を危険にします。棄権しないように呼び掛けるのは、個人でもできます。せめて、身内からは棄権者を出さないことです。

政党支持を分類すると;
*「消極派」政治的に知識や関与が多く、選挙ごとに政策中心で投票先を選ぶ人・・・・・・・・・・25%
*「忠誠派」政治的に知識や関心が多いが、支持政党はずっと変えない・・・・・・・・・・・・・・38%
*「無党派」政治知識はそれほどなく、少ない情報で投票するが、棄権も多い人・・・・・・・・・・22%
*「委任派」政治知識はあまりないが、保守的傾向があり、縁故による動員対象になりやすい人・・・15%

これは、30年前の三宅一郎政治学者の分析(9月28日付け朝日新聞「論壇時」小熊英二歴史社会学者の執筆より引用

30年前と違うのは、固定票に減少→無党派層の増大です。
労組加入率 1986年11%~2014年6%
町内会自治会加入率  1986年70%~2014年20%

今の有権者は三つの対立軸を持っている(遠藤晶久)
①自衛隊・安全保障
②女性の社会進出・外国人労働者などの社会的価値観
③「小さな政府」や自国優先主義の様な新保守主義
これらへの賛否が問われるとのことです。
①の自衛隊・安全保障に関する対立は弱まっている?との指摘もあります。

小熊氏は「いずれも言うは易く実行は難しい。だが、現状では、21世紀の社会に、20世紀の政治が追い付いていない。今問われているには「合意に技術」としての政治が、21世紀に生き残れるか否かである。と結んでいます。


2017年10月3日火曜日

2017総選挙 リベラルと保守

「リベラルと保守」とは一体なんだろうか?

  枝野新党の党名が「立憲民主党」となり、「安倍自民党」と「希望の党」の保守対保守の対決にリベラル新党が加わり、三極構造になってきました。
  ところで、一体「リベラル」と「保守」とは?片や英語、一方は日本語です。分かっているようで、分からないのがこれらの言葉ではないでしょうか?
「保守」: 時代の新しい風潮などに応じることを拒み、旧来の考え方や伝統的なやり方を守り通そうとすること。
「リベラル」:新明解辞典には記述がありませんでした。

  こうした概念は、西欧の政治システム導入の訳語でしょうから、英英辞典を調べてみました。(ロングマン現代英英辞典より)
 "liberal ": 1.willing to understand & respect the ideas & feelings of others
                   2.supporting or allowing some change
                   3.encouraging or leading to a wide general to a wide general knowledge wide possibilities for self-expression and respect for other people's opinion
                  4.giving freely and generously
                  5.given freely, large 
                  6.neither close nor very exact

"conservatism": 1.dislike of change,esp. sudden change
                           2.(political)order of society should be kept as it is for as long as possible and that any change should be gradual

リベラルは、どうやら他人を尊重し理解する、変化(改革)を認める、自由などなど、かなり広範な個人の自由を認めることがあるようです。

一方、保守は、新明解辞典の内容と然程変わらないようですが、しかし、変化(改革)はgradual=漸次、穏やかに、徐々に、 とあります。日本語の辞書だけでは、保守の意味の大切な所が抜けていますね。

こうしてみると、リベラルをズバリと表す日本語がない?ということでしょうか。明治時代の人たちならどう訳すのでしょうか?と想ったりします。