【楕円の哲学】ー永遠の今ーeternal now-
「過去を捨象 すると革命になり、未来を捨象すると反動になる。」というのが田辺哲学(田辺元)の教えているところであると思う。現在は、未来と過去の緊張したバランスの中にあって、革命であっても困るし、反動であってもいけない。未来と過去が緊張したバランスの中にあるように努めていくのが、「健全な保守」というものではないだろうか。私は保守主義をこのように考えている。-大平正芳「在素知餐」-
註:「捨象」物事を論じる際に、本質的でないととらえられている部分を 無視こと。
前尾繁三郎・大平正芳・宮澤喜一(宏池会)の保守政治の特性を共有
第一:保守主義は過去との連続を保ち伝統と秩序を尊重し、そのなかで出来るだけ徐々に不安と混乱をなくして創造と進歩を目指す立場である。
第二:秩序をともなった自由と政治的平等を尊重する保守主義は、当然議会主義、民主主義を擁護し、常識と体験の上に立った中庸の道を歩む。
第三:古いというイメージを持たれる保守主義であるが、あくまで筋を通して、行政と立法に限界を十分考えながら合理主義に徹する。
人間の歴史には、いつの時代をとってみても、今日と較べて、ひどくよかったという時代はなかったようです。(中略)いかなる手段にも必ずプラスとマイナスが伴うもので、絶対的にプラスである手段などというものはないということです。現実にはよりプラスの多い、よりマイナスの少ない手段を工夫することだと思います。ー大平正芳「変革と対応」ー