2017年9月20日水曜日

立憲主義の崩壊 言論弾圧 天皇機関説と国体明徴 政治と宗教

山崎雅弘著「天皇機関説」事件 集英社新書
赤江達也著「矢内原忠雄」戦争と知識人の使命 岩波新書

  両書とも、日本を代表する学者が、言論弾圧を受けた時代に関する書です。
天皇機関説事件では、『天皇を神格化する政治家と右翼組織が結びつき、この事件が起こった。この学説を主張する憲法学者美濃部達吉は、弾圧を受けた後『国策としての国家主義は、その最も極端なかたちにおいては、国家を単に戦闘団体としてのみ観察し、国防すなわち国家の戦闘力を強くすることが、国家の唯一の目的として、国家のすべての編制および活動をして、ひとえにこの目的を達するための手段西用としているところにある』と言っています。
  矢内原事件では、天皇=現人神を奉じる「神の国」とキリスト教の絶対神を基礎とする「神の国」が対立関係であり、「神」の概念をめぐって対立している。無教会主義の内村鑑三に師事した、矢内原の考えはキリスト教の預言者的ナショナリズムによる国体論的ナショナリズム批判と。

  いずれも、国家権力により為政者(軍部・右翼など)にとって都合の悪い思想と、弾圧されていった。