講談社現代新書 橋爪大三郎x大澤真幸「日本ってこんなにおもしろい!」
「日本は最近元気がない。経済のせいだと、思っている人が多い。そういう問題ではない、と思う。自分たちがどこから来て、どこへ行くのは、それがわからないからだ。いま何をすればいいか、わからないから。そう歴史の方向感覚を失っているからだ。(中略)
歴史とは「物語」。いまがいまであることを支えている、大事な出来事の積み重ねである。でもしばしば、歴史学者が、このことを忘れている。歴史を教える教員が、このことをわかっていない。歴史の専門家が歴史を理解していないのだ。
日本の歴史は、明治のところで、ぷっつり切れている。それより前の出来事は、明治以降と結びつかいないまま、事実だけが並んでいる。これでは、歴史とは言えない。(後略)
これは、この書の語り部の一人、橋爪大三郎の「まえがき」の一部である。
橋爪氏が18の疑問を提示し、それを基に大澤真幸氏との対話本である。大澤氏は「あとがき」で、『この対談は、普通の対談と違う。・・・云々と記しています。
鈴木壮一著「明治維新の正体」 原田伊織著「明治維新という過ち」
両書とも毎日ワンズ出版
両書とも、徳川政権末期の、世の中の動きを、水戸藩の水戸斉昭、一橋慶喜、西郷隆盛、松平容保などなどの歴史上名高い人物の動きを通してこの時期を観ています。
両書の著者の見方は人物によっては、肯定的であったり否定的であったりしています。それはそれで興味が湧きます。
ただ、当時の長州藩への見方は両書とも完全に否定的です。これは共通しているようです。
教科書の明治維新の記述は、いかにも後の政権のプロパガンダ的な記述では?と彷彿させる書であります。
明治元年から数えて150年、区切りの年に読むのもいい書かも知れません。